不妊治療
丸山記念総合病院
顕微授精(ICSI)とは
顕微授精は体外受精と同様にして体外に取り出した卵に対し、顕微鏡で観察しつつ精子1匹を直接注入する治療法です。
1992年に始まった新しい治療法であり、安全性については通常の体外受精と変わらない、染色体異常児が増える傾向にある、
など種々の報告がありますが、まだ一定の見解は出ていないのが実状です。
顕微授精の対象
1.通常の体外受精では妊娠するのが難しい、極度の精子減少がある場合。
2.通常の体外受精において受精率が悪い場合。
ナファレリール、セトロタイド、排卵誘発の方法については、通常の体外受精と同じです。
○ 体外受精で、赤ちゃんに異常が起こる確率は、自然妊娠と比べても大きな差は無いとされています。 ただし、40歳以上の方が妊娠した場合、加齢による妊娠・胎児におけるリスクは増加する可能性があります。
○ 採卵は、基本的に全身麻酔(卵が数個の場合は局所麻酔)下で行います。麻酔による副作用が出る可能性があります。 アレルギーや高血圧などのある方は、必ず事前にお申し出下さい。
○ 卵巣刺激の副作用として、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)を起こすことがあります。
OHSSを発祥すると、血管から水分が漏れ、それがもとで血栓が出来てしまい、脳梗塞などの重篤な副作用を起こすことがあります。
早期の治療が必要ですので、以下の症状の現れた場合は、早急にご来院下さい。
*お腹が強くはる *お腹が痛い *ウエストが大きくなった *おしっこが減った
*息が苦しい *採卵後に体重が2kg以上増えた
以上の場合は、入院して点滴治療などが必要になる場合があります。
○ 移植日にOHSSが予測される場合には、胚移植は見合わせすべての胚を凍結保存することがあります。 この場合、後日OHSS症状が落ち着いた周期に融解移植を行うことになります。
○ 特に顕微受精を行った場合、乏精子症による男性不妊は男児(次の世代)への伝播の可能性があります。
顕微受精の代替治療は、通常の体外受精、タイミング指導やAIHなどの一般不妊治療、さらに排卵誘発(クロミッドやHMGなどを用いる)がありますが、 いずれも顕微受精より妊娠する可能性は低くなります。
当院は日本産科婦人科学会の「生殖補助医療の実施登録施設」となっています。 このため、毎年の治療データの学会への報告が義務付けられています。データは一昨年のものが報告され、学会で集計されています。
学会への治療データの報告や、学会・研究会での発表などに個人が特定できるような形でのデータの提示はいたしません。 別紙の「個人情報保護に関する当病院の基本方針」をご覧下さい。
体外受精について疑問や不安を感じたら、いつでも医師にご相談下さい。 治療の中断、撤回、ステップアップなどもいつでもお申し出下さい。